伊深まちづくり協議会は、住みよく、うるおいのあるまちづくりをめざし、住民主体の活動を組織化、支援しています。

まちけん

2015.6.3 「旧伊深村役場」に関する調査報告がまとめられました

 当協議会の2012年度の活動の一環として紹介した「旧伊深村役場」に関する調査報告がさきほどまとまり、3月に発刊された「美濃加茂市民ミュージアム紀要 第14集」に記載されていることが市から報告されました。

紀要

◀調査報告がのっている冊子(紀要)。



※「紀要」とは
「大学(短期大学を含む)などの教育機関や各種の研究所・博物館などが定期的に発行する学術雑誌のこと」(ウィキペディアより)



 調査報告は2012年9月29日にご講演いただいた名市大大学院の溝口正人教授と向口武志准教授によるもので、『旧伊深村役場現況調査』と題し、今集の最初の記事として13ページにわたってまとめられています。

溝口教授

◀2012.9.29の講演会のときのようす



         当時の記事はこちら≫



 内容的には、現存する資料から工事の施工年を昭和10年3月着工、11年3月竣工と推定しているほか、数回の現地調査により建物の現状を詳細にまとめ、最後に「文化財建築物としての評価と展望」についても触れられています。
 特に「まちづくり」に関連しては、「文化財であるだけでなく、景観財・観光財として、利活用が期待できる重要な資産といえ、伊深のまちづくりの計画の中に積極的に位置づけられてよい」と指摘されています。

 伊深に住む者にとって興味深い内容が多く含まれており、一度ご覧になってはいかがでしょうか。この資料は伊深連絡所に備え付けられていますので、いつでもご覧になれます。


▼記事の冒頭部分
記事冒頭


▼図表の一部
図表


2012.9.29 第1回まちけん『伊深自治会館の歴史的価値を知ろう』を開催しました。

 当協議会では、9月29日、第1回目の“まちけん”(まちづくり研修会)として「伊深自治会館の歴史的価値を知ろう」を開催し、伊深地区住民、まち協役員、市・学校関係者ら約30人の参加がありました。

溝口教授

 これは、伊深の歴史や今のこと、将来などについて住民自ら「知り」「学び」「考える」機会として今年度から始まった「まちけん」の第1回として開いたものです。
 今回は、美濃加茂市合併以前の町村役場として唯一現存する旧伊深村役場=現伊深自治会館の歴史的価値などについて、今年度、市からの委託で建物調査を実施された名市大大学院の溝口正人教授を招き、お話を聞きました。

 溝口教授は、各地の歴史的建物の調査や保存活動に関わってこられた経験や国の委員を勤められている立場から、歴史的建造物を保存・活用するうえで活用できる制度や考え方などについて多くの事例を引いて解説されました。

 そのうえで、昭和6年に建築されて約80年を経た伊深自治会館については、歴史的建造物として東海地方でも貴重なものであること、また単なる田舎町ではない伊深の町並み景観とのマッチングも良いことから地域の「溜」的な施設として活用することを住民自身で検討し行政に働きかけてはどうか、と提案をいただきました。

研修風景

 参加者へのアンケートでは今回の研修会が「大いに参考になった」「少しはなった」という回答がほとんどで、「この機会にこの建物の価値を見直してみたい」とか、「伊深に生まれて良かった」、といった感想も聞かれました。
 
 当協議会では今回のまちけんを、伊深自治会館の存廃を地域として考えるうえでの出発点にしたいと考えており、今後一層の議論の進展が望まれます。

 なお、今回の建物調査の結果は、後日報告書の形で公表されるそうです。

 溝口教授の講演要旨は以下のとおり。
※ 当HP「各種資料」に当日の講演資料を掲示しました。

・人口減少時代を迎え、税収不足などから建て替えが難しくなり歴史的建造物の保存・活用が課題となってきている。
・ヴィクトル・ユゴーのことばに「建物には『建物自体の効用』と『建物の美しさ』という二つの要件があり、前者は所有者に帰属するが後者はすべての人に帰属する。したがって建物を破壊することは所有者の限度を超えるものだ」というのがある。
・日本でも、国レベルでダムや道路など大型施設への投資が減り、官民を通じて歴史的建造物への関心が高まりつつあり、こうした流れのなかで「歴史まちづくり法」がH20年に施行された。
・歴史的建造物を評価する基準はさまざまあるが、文化財として評価する場合は、建物自体の価値もさることながら場所性(そこにあること)が重要な要素である。
・H8には「文化財登録制度」がスタートしたが、これは従来の厳格な「文化財指定制度」に対し、文化財を活用しながら保存するという新しい発想にもとづく制度で、原則として築後50年を経過した建造物で、①国土の歴史的景観に寄与しているもの、②造形の規範となっているもの、③再現することが容易でないもの、のいずれかを満たすことが要件である。
・歴史的建造物を残そうとする場合、「どのようにしたら使えるか」を実践的に考えることが必要。
・この場合、「残すもの」「残さなくてよいもの」を見極め、大胆に用途転換を考えることも必要。
・「町並み保存」の分野では前野まさる氏の三原則が有名だが、これは建造物単体でも同様で有効な基準である。
 1 住めること(=使えること) ‥‥ 都市と建物は使えなければ捨てられる。
 2 清潔さ ‥‥ 汚れていると価値を忘れ、捨てられる。
 3 見える価値 ‥‥ 物の価値は見えていないと人々は大切にしない。
・現在の耐震構造計算は数値的に計算できるものだけを対象にしており、伝統工法は「構造計算」になじみにくいため今のところ数値化できない。

(伊深自治会館について)

伊深自治会館

・一見左右対称に見えるが実は非対称の建物で、それを感じさせない工夫がある。
・玄関屋根は手の込んだ「むくり屋根」になっている。
・全体として当時の村や住民が力を入れて作ったもので、なかなかの建物である。
・付近の町並みはとても田舎町のものではない整然さがあるほか火の見やぐらもあり、これらとのマッチングで価値が増している。
・今でも町の中心に位置し、残すのであれば地域の中核施設として「溜(たまり)」の機能を発揮できるような活用方法を住民として検討してはどうか。
・地元住民にとっては「当たり前」過ぎて価値を考えることの少ない建物であるが、この活用方法について行政に多くを期待することはできない。地元から行政に働きかけていかないと難しい。


2012.8.25 【予告】 2012.9.29(土)に第1回まちけん『伊深自治会館の歴史的価値を知ろう』を開催します!

 当協議会では第1回まちけん(まちづくり研修会)として標記の報告会を開催することになりました。

 これは今年度、市の委託により伊深自治会館(旧伊深村役場)の建物調査が行われたため、地元に対して「中間報告」の形でいち早くご報告をいただこうと開くもので、調査に当たられた名市大大学院 溝口正人教授ご本人から詳しい説明をいただきます。

 この建物は永年、地域の中央公民館として慣れ親しんできましたが、一部に雨漏れがあったり、耐震性への不安があるなど、今後も使い続けるうえでいくつか課題が挙がってきています。今回の報告会はこうした課題を考えるうえで貴重な判断材料を与えていただけるものと思います。

 『まちけん』は、伊深のこと(歴史、今、将来)を、住民自ら〔知り、学び、考える〕機会として始めたもので、今回の研修会は伊深自治会館の歴史を学び、将来を考える機会になるものと思います。
 
 伊深住民の皆さまはもとより、この建物に関心をお持ちの皆さまの参加を広くお待ちしています。

            記
 日 時  平成24年9月29日(土)  午後6:30~8:30
 場 所  美濃加茂市伊深町 伊深自治会館(JA伊深支店の東)
       ○駐車場は連絡所東の駐車場をご利用ください。
 お問い合わせ  協議会事務局(伊深連絡所 電話 0574-29-1395 )まで。 
  ※詳細は下のパンフレットをご参照ください。 



 伊深自治会館の地図はこちら。


より大きな地図で 伊深自治会館 を表示


ここをクリックするとパンフレットが拡大できます≫

まちけん①パンフ

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